コラム
口呼吸とお口がポカンと空いている状態のリスクについて歯科医師が説明します。
近年、新型コロナウィルスの影響もあり、常にマスクをしていることが増えましたが、皆さんはふと気づいた時にマスクの中でお口が空いていることはありませんか。
口が開いていると、気づかないうちに鼻呼吸から口呼吸になっている場合が多々あります。
お口を開けて過ごしていると、口腔内が乾燥して唾液が減少し、抗菌作用が失われて、虫歯菌や歯周病菌(口腔常在菌)が増えてしまうリスクなどがあります。
小さなお子さんでも、気づいたらお口を開けてテレビを見ていたりすることはありませんか?
今回はお口を開けた状態だとどうなってしまうのか、口呼吸だとどのようなリスクがあるのかをお伝えしたいと思います。
◎口呼吸のリスク◎
・口腔内が乾燥する
口腔内が乾燥することで唾液の持つ洗浄作用と抗菌作用が失われてしまいます。
そうするとしっかりオーラルケアしても口腔内の細菌が増えてしまいます。
さらに、常に口腔内が空気に触れていると、上の歯の前歯や空気に触れている歯の領域で唾液の保護的役割が低下し歯肉炎の発症率も高くなります。口腔内が乾燥することで口臭がするようになります。
・舌側に着色がつきやすくなる
口腔内に入ってきた空気が唇、そして歯の先端から水分を奪ってのどに流れるので舌側に着色がつきやすくなります。
・口腔内Phが酸性に傾く
口呼吸で寝ると鼻呼吸の時よりも口腔内Phが酸性に傾き歯が脱灰しやすい。
(食べ物等の口から摂取したものによって、口腔内が中性に戻らない)
・集中力が落ちてしまい、記憶力が下がる
近年、鼻呼吸から口呼吸になっている子が増えています。
口呼吸になることでお口がずっと空いている(お口ぽかん)状態になり※口腔機能発達不全症になってしまいます。そうなることで脳への酸素供給不足になり集中力が失われ、ワーキングメモリ(記憶の一時的な保管場所)がうまく活用できなくなり記憶力が下がることがあります。
お口がぽかんとしている状態は自然治癒するものではありませんが、早期に適切な指導とトレーニングを行うことで改善が可能です。そのような状態が長く続くと歯列や骨の成長、顔貌にも悪影響が出てしまいます。
※口腔機能発達不全症とは
食べる機能、話す機能、呼吸する機能が十分に発達していない子どもに多い症候群。
このように口呼吸とお口がぽかんと空いている状態には様々なリスクがあります。
寝ている間に口が開かないようにするテープや、口呼吸を改善するためのお口の体操などもあります。
気になっている方は歯医者さんで相談してくださいね。
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執筆者
プロフィール
譽田 徹Toru Honda
ほんだ歯科医院おおたかの森
理事長
当院では、患者さんお一人お一人を自分の家族や大切な人のように思い、より安心して良質な歯科治療を受けていただくために、ホスピタリティを重視しております。
その為にも常にスタッフと連携し、あらゆる面での改善に向けて励んでおります。
患者さんとの信頼関係を築きながら診療を進めてまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。