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「噛む力(咬合力)」が健康に及ぼす影響を歯科医師が解説
私たちは物を食べるときに、噛んで食塊を形成し、それを飲み込むのに適切な硬さにするという作業をしています。
今まで口の中に物が入ることで当たり前に行ってきた動作ですが、今は変わってきています。
忙しい方向けに流し込みながら食べる「飲む○○」などが販売されていて、空腹やエネルギーを満たすためだけの食事になりつつある方や、口腔機能が衰えてきたからと軟らかい食事ばかりの方もいるのではないでしょうか?
そこで今回は噛むということが、どれほど大切で、体にどのような良い影響を及ぼすのかお話ししようと思います。
昨今の日本人は顎が小さいという話を、耳にしたことがあるのではないでしょうか?
なぜそうなってしまったと思いますか?
遡ると弥生時代や江戸時代には、食料を加工する技術がほとんどなく、噛み応えのある固い食材ばかりの食事でした
しかし今は食材の加工時術が進み柔らかいものが多く、咀嚼機能が退化しています。
そのため顎が十分に成長せず、顎の発育不全がおこり、次の世代に受け継がれてきてしまいました。
その影響により下記のような事例も増えています。
・下の親知らずが横向きにに生えており、横の歯を押して痛みが出る
・欠損歯が増えている
・顎が小さいため、永久歯が正しく生えてこない
このような患者さんが、本当に多くなってきました。
それでは噛むことを意識して咀嚼することで、皆さんにどのような良いことがあるかを説明させて頂きます。
・噛むことで唾液の分泌量が増え、食塊が柔らかくなり、胃の負担が軽減されます。
・食後の血糖値の上昇を抑えることできます。(糖尿病の方以外)
・噛むことで脳の血流が上がるため、集中力や判断力が高まります。(老年期は認知症の予防にも繋がります)
・食後の満腹感や満足度が得られやすく、過食の防止に繋がります。
・誤嚥性肺炎になりにくくなります。
噛むということで、これほどのメリットを得られるのです。
噛む食事は幼少時から始まります。この成長過程において、ほとんど噛まない食事をすることで大人になっても流し込む食べ方が習慣化してしまいます。
そのためよく噛んで食べるということを、子供のころから習慣にしておくことが非常に大切です。
もし自分が流し込むような食べ方をしているのではないかと気になった場合、次のことを確認してください。
「一口で、30回以上噛めているかどうか」
30回よりも噛む回数が少ない方は、まだまだ噛むという行為が足りていない証拠です。
また歯周病などで歯が抜けてしまった方は、義歯を作成するか、または歯ぐきでも噛むことの出来る食べ物を食べるように心がけましょう。
噛む力が衰えていると感じたら、歯科医師や言語聴覚士、理学療法士、作業療法士などに相談してみて下さい。
治療や訓練によって改善する可能性もあります。
皆さんがしっかりと噛むことで、更に健康になることを願っています。
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執筆者
プロフィール
譽田 徹Toru Honda
ほんだ歯科医院おおたかの森
院長
当院では、患者さんお一人お一人を自分の家族や大切な人のように思い、より安心して良質な歯科治療を受けていただくために、ホスピタリティを重視しております。
その為にも常にスタッフと連携し、あらゆる面での改善に向けて励んでおります。
患者さんとの信頼関係を築きながら診療を進めてまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。